【質問事項】
釣りがゲームフィッシング(スポーツ)として発展してきたのはいつごろなんでしょうか?またその歴史なんかも教えて頂ければ嬉しいです。
【回答】
1653年、アイザック・ウォールトン「釣魚大全」に【スポーツとしての釣り(スポーツには「たしなみ」「楽しみ」という意味があります。)】の思想が見られ、その後の世界中の釣り人に影響を与えました。(フライの雑誌刊・「釣魚大全Ⅱ」参照)
【スポーツフィッシング】とは、広い意味で漁師以外のアマチュアの釣り人が行う釣りのことをさしており、欧米では、この傾向が強いですね。つまり、日本の人たちがやっているハゼ釣り、フナ釣りなどもひっくるめて、すべての釣りがスポーツフィッシングということです。
したがって、ルアーや、フライ、トローリング、ジギングなど横文字で呼ばれる釣りのみを指してスポーツフィッシングというのは間違いです。
また、スポーツ=「競技」という意味のほうが日本人には強く伝わってしまったため、ルールのある釣りをスポーツフィッシングと呼ぶようになり、その意味では、1939年、IGFAが設立され、IGFAルールが発表されたこの年を、「ルールに基づいたスポーツフィッシングの幕開け」と考えてよいでしょう。
※IGFA=インターナショナル・ゲーム・フィッシュ・アソシエーション
ただ、このIGFAルールも釣り大会のためのルールではなく、「釣りで捕獲された魚の公式記録(世界記録)」を保存するために定めたルールであり、ここでいう釣りとは、「漁ではないこと」、「魚とは1対1で渡り合うこと(釣り人が途中で交代するのは、魚に対してフェアではない)」、「ほかの釣り人にも魚にもフェアであること」、「竿とリール、ラインを使って魚と引き合うこと」などの「スポーツマンシップにのっとった魚釣り」について釣具、釣り方、申請方法などをルール化したものです。
また、競技の釣り、つまり、釣り大会やトーナメントなどは、ルールある釣りのほんの一部であり、スポーツフィッシング=トーナメントと考えるのは間違いです。
ところで、「ゲームフィッシング」とは、釣りの対象となる魚のことを「ゲームフィッシュ」と呼び、それを釣ることをゲームフィッシングといいます。これも、日本では、コンピュータゲームのようなものの方がイメージ的に強く、そちらのゲームと間違って解釈してしまう人たちもいます。
ゲームだから、魚は食べないでただ釣るだけの釣りと勝手に解釈される人がいるのは困った話です。
ゲームフィッシングの元となった「ゲーム」という本来の意味は、ハンティングで「獲物」のことを「ゲーム」といい、大物のことを、「ビッグ(大きな)ゲーム(獲物)」と呼んでいたことから、その「ゲーム」や「ビッグゲーム」という言葉が釣りにも使われるようになったわけです。
したがって、スポーツフィッシングや、ゲームフィッシングという言葉を、一般の釣りと区別しようとして魚を食べる、食べない、の区別として使うのは日本人の勝手な、そして、間違った解釈といえましょう。
本来ならば、日本の釣りが、釣果の多さや食べることにこだわりすぎず、釣り本来の楽しみ(ゲームフィッシュとの駆け引き、引き味を楽しむこと、釣りの雰囲気を楽しむこと、自然を楽しむレクリエーション=アウトドアスポーツ)を優先するようになれば、欧米の人たちが行っている釣りと同じように本来の意味そのもの、つまり、日本の釣りすべてが「スポーツフィッシング」と呼ぶにふさわしいものとなっていくでしょう。 |
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