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「リリース・ウエイト」をご紹介します。


オーストラリアのネット版タグ&リリースニュースを見ましたら「リリース・ウエイト」なるパンフレットが紹介されていました。
基本的には、珊瑚礁で釣られた魚をリリースする際の道具だそうですが、マダイや、カサゴ、ハタの仲間のように浮き袋がふくらんで水底に戻れない魚に適用できるのでパンフレットを日本語に翻訳して皆さんにお知らせいたします。参考になれば幸いです。(翻訳:東知憲・JGFA理事・国際交流委員会委員)
これがリリース・ウエイト紹介パンフレットです。
オーストラリアから送ってもらいました。


リーフに棲む魚をリリースする際の生存率を高めるために


釣りを趣味とするアングラーにとって、海の魚をリリースする重要性は日ごとに増してきています。サイズリミット、バッグリミット、禁漁期などの設定は、より強力な自然保護倫理とも相まって、リリース率の向上につながってきました。
デューフィッシュ(アオバダイ)やブレイクシー・コッド(ハタの仲間)に代表されるリーフの魚は、20メートル以上の水深から釣り上げられる際に水圧障害を受けやすい種です。
水圧障害は、魚が急速に水面まで引き上げられたため、浮袋やその他の器官の圧力調整ができず、膨張してしまうことから起こります。
水圧障害は、膨れた腹部、飛び出した目、口から飛び出した胃、そして膨張した腸などの現象となって現れます。
図−1.水圧障害の症状 --- 胃が口から覗き、目が飛び出たブレイク
シー・コッド(左)。腸が膨張したピンクスナッパー(シロダイの仲間)(右)。


リリースする魚が水圧障害の徴候を示している場合、泳ぐこともままならず、そのままでは底まで到達できないことがあります。そのような魚は、浮き袋が正常な大きさに戻る水深まで自力で戻れないので、生存率を高めるためには特殊なハンドリングが求められます。これまでも多くのアングラーが、リリースしたものの水面に再び浮かび上がり、流れ去っていく魚に罪悪感を覚え、生存率を高めるためのシンプルな方法はないかと探してきました。

【リリース・ウエイト】

この器具は、基本的にはウエイトを与えられたバーブレスフックということができるでしょう。リリース・ウエイトはクリップで使っている道具につないで使う、専用のロッド&リールを使う、あるいはハンドラインに装着して使うことができます。リリース・ウエイトはリリースする魚の唇に掛けて水中のリーフまで下ろします。底に到着した段階でラインを引くと魚は自由になり、キャッチした水深に戻すことができるのです。多くの場合、魚は水中に下ろしていく途中で元気を取り戻し、自らの力でフックを外して泳いでゆきます。
図−2.リリースウエイト


【リリース・ウエイトの使い方】

リリース・ウエイトの使い方は簡単です。小型の魚であれば1人でリリースできますが、大型魚は2人で協力する必要があるでしょう。

1人でリリースする場合(小型魚に限る)
小型魚のみ。リリース・ウエイトを魚の口に掛けます。片手で魚を、もう片方でロッドもしくはハンドラインを持ち、ラインを送り出す準備をしておきます。頭を下にして魚を水に入れ、ラインを送り込んで水中に落としてゆきます。

2人でのアプローチ
1人が魚の体を支えます。その間、もう1人はウエイトを魚の口に掛け、次にロッドもしくはハンドラインを操ってリリースを行います。(図−3)
ウエイトが外れる前に、魚をできるだけ深い場所まで送り込むことが重要です。魚を下ろしている時に急にラインを引くと、魚が底に到達する前にウエイトから外れてしまいますので注意しましょう。
図−3.大型魚のリリース。2人で行うのがいいでしょう。


【利点】
★ 迅速にもとの生息環境へ返すことができる。
★ 魚を圧力環境へ戻し、水圧障害の悪影響を軽減。
★ 水面、中層域の滞在時間を短縮し、捕食される可能性を低減。
★ 複数の魚種で、再捕率の向上を確認。

【魚のハンドリングに関する注意】
★ 魚を水から出す時間は最低限に。
★ 迅速に、落ち着いて行動しましょう。
★ 魚を扱う時には濡れた手、もしくは濡れタオルを使いましょう。
★ 魚を置くなら、濡れた面を選びましょう。熱く焼けた、乾いた場所には置かないこと。
★ エラや目には手を触れないようにして、日光に当てないようにしましょう。(とくにデューフィッシュ)。
★ 内臓器官の損傷を防ぐため、大型魚の体は完全に保持しておきましょう。

【リリースウエイトを使うことのできる魚種の例】
ウエストラリアン・デューフィッシュ(アオバダイ)
ピンクスナッパー(シロダイの仲間)
ブレイクシー・コッド(ハタの仲間)
マロウェイ/ノーザン・ジューフィッシュ(オオニベの仲間)
レッドエンペラー(センネンダイ)
コーラルトラウト(スジアラの仲間)
ボールドチン・クローパー/他のタスクフィッシュ類(イラ、シロクラベラの仲間)
コッド各種(ハタ類)
ノーウエスト・スナッパー(ハマフエフキ)

リリースする魚の生存の可能性を高めるのは、全アングラーの責任です。
明日のために、今日の釣りを。

リリースウエイトの発売元:Hills Mako tackle Welshpool, W.A. Austraria 
              問い合わせ先:(08) 9274-5255